歴史息づく異人館の屋根葺き替えリフォーム。
外観意匠を継承しながら耐震性能を向上。

ダイセル異人館[兵庫県]

各種施設 木造 改修 屋根材 採用商品

株式会社 大林組

大阪本店 建築事業部 構造設計部

横山 佳子 氏

明治・大正・昭和・平成の時代を見続けてきた歴史的建築物を改修。

株式会社ダイセル様の前身である日本セルロイド人造絹糸株式会社が、1908年から1910年にかけて外国人技師住宅として建てられ、ほぼ当時の原形のまま3棟が残されています。初代「通天閣」の設計で有名な建築家、設楽貞雄氏が手掛けられたもので、当時の日本には珍しい異国情緒漂う建築物です。現代においてゲストハウスや資料館として使われている2棟については、1987年に「ひょうご住宅百選」、1989年に姫路市「都市景観重要建築物等」、2009年に経済産業省「地域活性化に役立つ近代化産業遺産」、2011年に日本化学会「化学遺産」に選ばれています。

朱色の屋根が印象的な建築物は今も昔もカラーベストを選定。

株式会社ダイセル様創立100周年事業の一環として、2019年秋に、この異人館を改修することが決まりました。「100年以上の歴史と風格をもつ建築物の意匠性を継承しながら、いかに耐震性能を強化するかが課題でした」と横山氏。ゲストハウスとして使用されていた、朱色の屋根が印象的な洋風2階建ての建築物は、過去の改修でもスレート屋根のカラーベストが使われていました。その軽量性と信頼性の実績により、今回の改修でもカラーベストを採用することになりました。屋根の色合いを再現するために、カラーベストの現ラインナップの中から、赤系統の商品サンプルを全て取り揃えて、現建築物の屋根と比較。色合いが最も近いグラッサ・クールレッドに決めました。

和洋折衷の平屋建て建築物は和瓦から軽い屋根ルーガに改修。

和瓦と洋風の飾り窓の組み合わせが和洋折衷の趣を醸し出している建築物は、企業の執務室として使用されていました。改修前と同様に陶器製の和瓦を使うには、過大な構造補強が必要でした。当初の改修計画では、他の建築物と同じカラーベストを使う案も出ましたが、外観意匠の継承に配慮し、和瓦のような重厚感を持ちながら軽量設計の瓦「ルーガ」を採用。改修前の屋根重量に比べて、約1/2の軽量化に成功しています。

施設情報

建築:
ダイセル異人館
施工監理:
株式会社 大林組