住む人も、働く人も快適に。
地域の中で
安心して暮らすための
木造耐火構造の施設。
無有建築工房
玉井淳 氏
木の温もりに包まれた地域生活支援拠点。
2017年10月、鹿児島市内に開所した「ゆうかり」は、障がいを持たれた方の地域での生活を支援する拠点施設として誕生しました。空に向かって並んで伸びる三角屋根と木製手すりのアクセントが印象的な木造耐火建築物です。2棟に分かれて見える外観は、地域の中で人と人が寄り添い、支えあって暮らすという思いを表現。また外装、内装ともに、木の温もりを大切にしており、ここで暮らす人も、時々過ごす人も、心が和みほっと安心できる雰囲気を生みだしています。
鹿児島県初となる木造4階建て耐火構造。
玉井氏は設計当初、鉄骨造を考えておられましたが、木の温もりを大切にしたいという事業主様の強い要望があり、木造耐火構造を採用されました。外装には、木材や窯業系サイディング、ガルバニウム鋼板の特性を活かして適材適所に使うことで、木のナチュラルな風合いを表現しながら、メンテナンス性を確保しています。また建物正面と裏面にケイミューの窯業系サイディングを使用。特に裏面は、縦張りと横張りを組み合わせる設計で、高い意匠性とシーリング目地を目立たせないことに成功しています。
柱や梁型の一部を現しにしてより木造を実感できる空間へ。
木造耐火の場合、構造材を現しにできない規制がありますが、スプリンクラー設置に伴う内装制限の緩和により、木質系素材の使用が可能になります。ゆうかりでは、各階の棟持ち柱に、純木質耐火集成材「FRウッド」を採用し、空間のシンボルとして、木造を強く印象づけています。また廊下には化粧柱を設け、空間にリズムをつけるとともに、歩行の際に手すりとしても利用できるよう配慮されています。こうした木造による高い意匠性が認められ、カナダ林産業審議会主催「COFI 中層木造建築デザインアワード」を受賞しています。