1. TOP
  2. 記事一覧
  3. 【世界のかわいい家#1】青く透き通ったエーゲ海に浮かぶ白亜の街 ギリシャ サントリーニ島
  • 暮らしのアイデア

【世界のかわいい家#1】青く透き通った
エーゲ海に浮かぶ白亜の街 ギリシャ サントリーニ島

  • #かわいい家
  • #世界一の夕景
  • #おしゃれな家

世界を見渡すと「どうやってできたの?」と不思議に思えるような、かわいい家や街並みが数多く存在しています。そんな「世界のかわいい家」を紹介する新企画の第1回目は、世界中から観光客が訪れるエーゲ海に浮かぶサントリーニ島の白亜の家と街並みです。

エーゲ海が真っ赤に染まる「世界一の夕景」が眺められる島

断崖の上に広がる白亜の街並みと、青く透き通った空と海のコントラストが生み出す絶景。エーゲ海のキクラデス諸島南部に浮かぶギリシャのサントリーニ島は、人口1,000人ほどの小さな島。サントリーニ島の北端イアの街から眺めるエーゲ海の夕焼けは「世界一の夕景」と称され、世界中からたくさんの観光客が訪れます。断崖に囲まれた島の立地を最大限に活かしたどこまでも続く青い世界の中に現れる白亜の家と街並みは、まるで絵画の中に入り込んだかのような絶景で世界中の人々を虜にしています。サントリーニ島の街並みをつくる白い家は、古代ギリシャの伝統的なキクラデス様式の流れを汲み、エーゲ海特有の強い紫外線を防ぐために漆喰で塗られた白い壁、メルテミ(強い北風)から守るため角に丸みをつけた建物、そして雨水を集める平らな屋根が特徴となっています。

「世界一の夕景」と称される、太陽がエーゲ海に沈む瞬間。夕陽に映える美しいイアの街並みは、まるで一枚の絵画のよう

点在する教会の青いドームや鐘楼がアクセントとなり、イアの街並みをさらに美しくみせている

サントリーニ島はじつはカルデラの外輪山

エーゲ海といえば古代ギリシャ文明が取り囲むように栄えた地域で、サントリーニ島にもティラ遺跡をはじめ古代ギリシャ文明を伝える遺跡が数多く遺され、人気観光スポットにもなっています。フィラの街にある建物のテラスから、「ブラタモリ」的な視点で中央のネア・カメニ島を眺めると、サントリーニ島は円環状に点在する島のひとつ、つまりクロワッサン状の形をしたカルデラの外輪山にあたることがわかります。繁栄を誇った古代ギリシャ文明が滅びてしまったのも、じつは島の中心にある火山活動による地震や火山灰の影響といわれています。

地図を見ると、ネア・カメニ島を中心に海の部分がカルデラ、サントリーニ島が外輪山であることがわかる

島の中心にある観光の街フィラ。静かで落ち着いた北端の街イラ

サントリーニ島最大の街は島の中心にあるフィラで、クルーズ船から島へのアクセスもここが中心となっています。かつて港からフィラの街に入るには、ジグザグに折り返す階段を徒歩で登るしかありませんでしたが、現在は港と街がロープウェイで結ばれ、時間に余裕のある観光客はジグザグの道をロバの背中に乗りながら、いろいろな角度でフィラの街を眺めることができます。一方、北端の街イアは、アクセスが不便なおかげもあり観光客で溢れることなく、美しい街並みをいまにとどめています。私たちが映像や写真で目にするサントリーニ島の美しい風景の多くはイアで、住人たちの生活と豊かでダイナミックな街並みを今なお感じることができます。

港とフィラの街の高低差約200メートルをロープウェイがつなぐ

ロバに乗りながらのんびり眺めるフィラの街並みも味わいがある

断崖の横穴住居から美しい白亜の街へ

サントリーニ島の住居は、もともと斜面に穿たれた横穴住居だったといわれています。斜面に沿って折り重なるように家が建ち、それらの前面にキクラデス様式の建築的な意匠や工夫が加わって、上部の家の前庭が下の家の屋根にもなるような互いに入り組んだ豊かな空間が生み出されています。じつはこの美しいサントリーニ島の街並みの多くは1956年の大地震で崩壊しました。当初、ギリシャ政府は崩落の危険性から住民たちに斜面に住むことを禁じ、上部の安全な場所に移転するように勧めていましたが、住民たちは時間をかけて建物を修復し、白い漆喰を塗り重ねながら美しい街を再生していきました。紺碧の海に映える白亜の美しい街並みは、幾度となく火山活動による危機に見舞われながらも、街をつくろうとする何世代にもわたる住人の意思によって保たれているのです。

夕焼けに染まるイアの街並み。爽やかな昼の風景とはうって変わって幻想的な雰囲気に