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【こんなところにも“ケイミュー!”#2】京都編
京都の中心街、四条〜三条のレトロモダン建築を散歩する

  • #散歩
  • #街歩き

建物を眺めながら散歩するのも、街歩きの楽しみのひとつ。SOTOMOの街歩きでは、「こんなところにもケイミュー!」という視点で、身近にあるケイミューを探して、いろいろな街やスポット、お店などを巡ります。第2回目は、京都の中心街、四条〜三条のレトロモダン建築を巡ります。

古都とモダン。京都の風情ある
レトロモダンな街並みを散歩する

京都と聞くと、町家や神社仏閣などを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、幸いにも戦禍や震災で大きな被害を受けることがなかった京都は、明治、大正、昭和に建てられたモダン建築の宝庫でもあるのです。古都とモダン。さまざまな人の手と思いに支えられながら、その両者の面影が今の街並みに残されています。今回は、モダン建築が風情ある街並みに溶け込む京都の中心街、四条〜三条を歩きながら、その魅力や歴史に触れます。

本格的な北京料理と
ヴォーリズ建築を味わえるランドマーク

散歩の出発点は、四条河原町。鴨川の納涼床が並ぶ京都らしい風景のランドマークになっているのが、東華菜館です。そのクラシックな洋館の佇まいと立派な店構えがひときわ目を惹きますが、ここは本格的な北京料理が楽しめる老舗の中華料理店。建物を設計したのは、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。学校や教会建築で知られるヴォーリズが手がけた唯一のレストラン建築です。もともとは、1926年(大正15年)に西洋料理店としてスタートしましたが、戦時中、洋食レストランの存続が困難になり、北京料理のシェフの手に渡ったことから、東華菜館の歴史が始まったそうです。外観のあちこちには遊び心ある海の幸のレリーフが施され、館内では美しい天井や待合室が見られるほか、ヴォーリズの設計した調度品が今も使われています。

東華菜館 本店

住所 京都市下京区四条大橋西詰
営業時間 11:30~21:30(ラストオーダー21:00)不定休
休業日は、事前にサイトなどで確認してお越しください。

街の風景をつくる、
老舗喫茶室と新しいコーヒースタンド

食後にコーヒーを一杯、と足を伸ばしたのが1934年(昭和9年)に創業した老舗喫茶店「フランソワ喫茶室」。お目当ては、看板商品の泡立てたホイップクリームでいただく珈琲。内装は豪華客船のホールをイメージしたイタリアンバロック様式でドーム型の白い天井、豪華なシャンデリア、ステンドグラスの窓が、独特の世界観をつくり上げており、そんな雰囲気に惹かれ、開店当時から画家の藤田嗣治をはじめ、若い芸術家たちが集まったのだとか。
もうひとつ気になったのが、今年オープンした元町にあるスタンド式のコーヒーショップ「Cafe Loto kyoto」。骨董屋などが立ち並ぶ昔ながらの街並みになじんだ外観で、一見すると昔からある町家のようですが、じつは新築。旅館を彷彿とする外観の瀬戸内海を巡るクルーズ船「ガンツウ」を手がけた建築家・堀部安嗣が設計しています。コーヒーはもちろん、オーナーで料理研究家の武田雅代さんがつくるバスクチーズケーキやマドレーヌも絶品の美味しさで、とても人気があります。

フランソワ喫茶室

住所 京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184
営業時間 10:00~22:00 (ラストオーダー:フード類20:00、ドリンク&ケーキ21:30)
休業日は、事前にサイトなどで確認してお越しください。

Cafe Loto kyoto

住所 京都市東山区元町367
営業時間 12:00~18:00(土曜日~20:00) 日月火休
休業日は、事前にSNSなどで確認してお越しください。

日本近代建築の父、辰野金吾が手がけた
赤レンガのモダン建築

三条付近を散歩すると赤レンガに白い花崗岩の帯が入った、ひときわ目立つ建物が目に入ってきます。重要文化財でありながら、美術展や音楽イベントの場として広く活躍している京都文化博物館別館です。もともとは、1906年(明治39年)に日本銀行の京都支店として建てられたました。設計を手がけたのは、東京駅の設計などで知られる明治を代表する建築家・辰野金吾とその弟子・長野宇平治。中に入ると、辰野が得意とするドーマー窓のある天井から光が降り注ぐ巨大な吹き抜け空間が広がり、威風堂々とした姿に圧倒されるモダン建築です。かつて金庫室だった部屋を利用した前田珈琲の店舗があり、散歩の休憩にもうってつけ。建物見学のみであれば無料です。

京都文化博物館別館

住所 京都市中京区三条高倉
営業時間 10:00~19:30
入場は19:00まで。催事により閉館時間変更の場合があります。

新旧の建築が競演する
烏丸御池の新しい人気スポット

烏丸御池で、いま人気を集めているスポットが2020年に開業した「新風館」です。建物は保存棟と新築等のふたつの棟からなり、保存棟は1926年(大正15年)に通信省技術士の吉田鉄郎が設計したもの。煉瓦の外壁やアーチの窓枠など、古都・京都が近代都市に移り変わる時代を象徴するモダン建築です。

新築棟は、新国立競技場の設計で知られる隈研吾が設計監修し、新旧の建物を融合させた複合施設になっています。外観は木組みの構造、銅板の大庇やルーバーが特徴。お洒落なホテル、ショップ、ミニシアター、レストランなどが入っており、なかでも「Ace Hotel 京都」は海外からの観光客にも人気で、アメリカ西海岸のデザインスタジオ「コミューン・デザイン」による内装のデザイン監修と日本の職人による手仕事が、見事に競演しています。施設のサインなども洗練されており、トイレ空間とアプローチの壁にはケイミューの建築素材「SOLIDO」が使用されています。「SOLIDO」は、セメントの質感を生かした素材で、つくる過程で湧き出す白華(エフロレッセンス)をあえて抑えないことで、経年変化したような味のある風合いが生まれ、洗練された空間を引き立てます。

新風館

住所 京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2
営業時間 11:00~20:00(ショップ)、8:00~24:00(レストラン)無休
営業時間は、店舗により異なります。

100年以上続く自転車店と
ブルーボトルコーヒーがつくる町家カフェ

烏丸御池からほど近い六角通りに、伝統的な町家をリノベーションした「ブルーボトルコーヒー 京都六角カフェ」があります。この町家は明治時代後期に創業し、六角エリアのコミュニティを支えてきた自転車店「辻森自転車商会」のもので、100年後に向けた店舗のあり方を考えるプロジェクトを立ち上げ、そのパートナーとして選んだのがブルーボトルコーヒーだったそうです。空間デザインはスキーマ建築計画が手がけています。周辺の雰囲気を意識した外観と梁や土壁を残した店内、建具には京都の北山杉を取り入れるなど、100年以上続いてきた町家の歴史や素材を大切に引き継ぎながら、地域で長く愛される場所になっています。カフェ2階の屋根に使用されているのが、ケイミューの「ROOGA(ルーガ)」です。京都の屋根景観の基本となる瓦の重厚感を残しながら、耐震性に配慮し1/2以下の重量に軽量化。伝統的な街並みに新たな歴史を刻んでいます。

ブルーボトルコーヒー 京都六角カフェ

住所 京都市中京区 東洞院六角上る三文字町 226-1
営業時間 9:00~19:00 無休

こんな風に建物に注目してお散歩してみるのも街歩きの楽しみのひとつ。SOTOMOの街歩きでは、「こんなところにもケイミュー!」という視点で、身近にあるケイミューを探していろいろな街やスポット、お店などを巡っていきます。

SOLIDO typeM_FLAT

ROOGA(ルーガ)