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【私たちの外観づくり#3】無機質な素材へのこだわりを家の個性に

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ほかの住宅とちょっと違う外壁を用いることで、わが家ならではの個性を実現したいと考える方は多いでしょう。理想の住まいを叶えたご家族に、どのように外観づくりを進めていったのかを聞く『私たちの外観づくり』シリーズ。今回は「無機質な素材」に内外装の両面からこだわり、納得の住まいを手に入れた滋賀県Kさま邸をご紹介します。

はじめの計画は白い壁。ところが途中で一転して黒い壁に

外壁全体をマットな黒色に統一することで独特の存在感を醸し出すKさまのお住まい。周囲を通る人たちからも注目されているのではないでしょうか。しかし、「新築を考えた当初は、いまと全く違う白の塗り壁を考えていたんですよ」と奥さま。初期のイメージがどうして大きく変わり、どのように現在の外観デザインにたどり着かれたのか詳しくお尋ねしてみました。

Kさまご夫婦と4歳の元気なお嬢さまが暮らすお住まいは2019年1月に完成。玄関から旦那さまの秘密の(!?)部屋にアクセスできたり、寝室にスキップフロアが設けられているなど数々の生活の工夫が施されています

家づくりの最初のステップは、まず建築士との打ち合わせに向け、どんな家を建てたいのかという自身のイメージを固めることです。そこで奥さまはピンタレストで気になる住宅のデザインを収集。キッチンやリビングなどカテゴリー別に画像を集めて保存していくうち、次第に自分の好みがわかってきたそうです。「私はあまり装飾的なものは好きではなく、かなりシンプル志向。しかもどちらかといえば男性的。特に無機質な素材の質感がむき出しになっているインダストリアルなテイストに惹かれるとわかりました」。

キッチンを囲うグレーの壁はモールテックス仕上げ。背面の吊り戸棚は艶感のある黒い扉を採用して、素材感でメリハリをつけました

その奥さまの好みを最もよく表しているのが、装飾を排除したコンクリート風のキッチン。一見無骨にも見えるこのキッチンがインテリアの要となり、甘くなりがちな白基調の空間を引き締め、まるで流行りのカフェのようなモダンな雰囲気を作り上げています。最初はモルタル塗りを考えたそうですが、建築士よりクラックの入りにくいモールテックスを薦められ採用しました。ほかにも棚受けなど各所に黒色のアイアン素材をアクセントとして使うことで空間を演出されています。

ご夫婦の寝室には段差のあるスキップフロアが。用途を決めないスペースがあることがゆとりにつながっています

吹き抜けの壁から光が注ぐ開放的なリビング。扉やテーブル、イスなどのダークトーンが印象を引き締めています

このような内装のアイデアが一つひとつ固まっていく中で、ふと頭をよぎったのは外観のこと。インテリアに工業的なテイストを採用しているのに、外壁がやさしい白い壁ではちぐはぐな印象にならないだろうか。そこで外観のイメージをダークトーンでもう一度検討し直し、鋼材であるガルバリウムの外壁はどうだろうと建築士に相談します。その意図を汲み取った建築士が、「ガルバリウムもいいですが、この素材はどうですか」と奥さまに提案してきたのが、当時発売されたばかりだったケイミューのSOLIDO typeM_LAPでした。

惚れ込んだのは、「素のままが美しい」という考え方

奥さまは第一印象で「すごく魅力的な素材だな」と思ったそうです。「一般的な建築物の場合は、セメントから出てくる白い模様(白華)を邪魔者と考え抑え込もうとするのに、この素材はそれを逆にデザインとして生かそうとしている。素のままを美しいと捉える感覚が、私の作りたい家にぴったりだなと思いました」。素材に自然な柄がランダムで現れるため、どの一枚もそれぞれ表情が違う。しかも時間と共に少しずつ風合いが変化していくことを楽しめる。その発想は工業製品でありながら自然の素材に近いと言えます。

セメントから出てくる白い模様(白華)が、一枚ごとに異なる表情を描き出すSOLIDO typeM_LAP

奥さまはこのコンセプトに非常に共感され、外壁全面にSOLIDOの鉄黒というカラーを用いることを選択されました。単色の全面張りですが、SOLIDOをラップさせて張り上げていくことで壁に陰影ができ、単調にはならないだろうという考えです。「もちろん迷いはありました。鉄黒はカッコいいけど、全体を覆うと家の雰囲気が重たくなりすぎてしまうかもしれない。ネイビーのガルバリウムの方が軽快さは出るだろうなと思っていました。また表面に白華が現れるのも私は好きですが、ひょっとすると見る人には汚れのように見えるかもしれない。そのあたりが実物を見ないと判断しにくい懸念点でした」。残念ながらお二人の検討時期はまだ製品が発売されたばかりだったため、施工事例がほとんど見当たらなかったのです。迷った末に旦那さまにもガルバリウムとSOLIDOのどちらがいいかと尋ねてみましたが、旦那さまの意見も「SOLIDOの方がいいんじゃないか」だったそうです。こうしてインダストリアルなテイストで内装と外装が統一された、お二人ならではの個性的な住宅の建築がはじまりました。

お気に入りの外壁を引き立てる外構について試行錯誤

建築途中、張られはじめた外壁を見て奥さまは「想像以上にカッコいい」と感激されたとか。実際の壁の色はサンプルで見た印象よりもやや暗く見えましたが、強い日差しの下では濃いめのグレーのように明るく見え、思ったほど威圧的でもないし、周囲の景観に対してちょうどいいと感じたそうです。壁が一面、また一面と張られていくと家ができる楽しみが盛り上がっていきました。

光が当たると濃いめのグレーに見える外壁。素材を一枚一枚重ねながら張っていく工法により、立体感が感じられます

2階のバルコニーは天井と床に明るい木目調の素材が張られSOLIDO 鉄黒と相性抜群。光を受けると一層素敵な空間に

三角屋根の建物形状と同じ形でくり抜かれた玄関アプローチ。SOLIDO 鉄黒と板張りのコントラストが印象的な場にしています

そして外壁が完成すると、その後少しずつ時間をかけて外構を整えていったそうですが、これがなかなか難しかったそうです。「外壁がとても気に入ったので、何とかこれを最大限に生かす形で外観を仕上げたいと思い、ずっと悩み続けました」。いったん完成して住みはじめたあとも、敷き詰めてあった黒い砂利を取り除いてレンガを置いてみたり、花を飾ってみたり。そうして何度も手を入れた結果、つい数ヵ月前に足元のモルタルの面積を増やすことで、白と黒の対比が美しい外観にたどり着かれ、いまはとても満足されているそうです。しかし、この住宅の外観はこれで完成ではありません。毎日の暮らしと共に少しずつ変化していく性質の外壁により、家族の時が刻み込まれ、今年より来年、来年より再来年はより味わい深い表情を見せるのではないでしょうか。

外壁の印象を生かすため、足元のモルタルの面積を多くしたり、目隠しの木材をグレーにするなど、外構にも奥さまのこだわりが詰まっています

Kさま邸の外観こだわりポイント

  1. 1. 内装に合わせてインダストリアルテイストに注目
  2. 2. セメントの質感を生かすSOLIDOを選択
  3. 3. 建物の形からラップして張り上げるSOLIDO TypeM_LAPを選択
  4. 4. ダークトーンにこだわり、カラーは「鉄黒」を選択