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【私たちの外観づくり#5】平屋の住まいをモダンに魅せるツートンカラー

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上下移動がなくコンパクトで暮らしやすい、掃除がしやすく空調効率が良いなどの理由で人気の平屋建て。外観デザインの考え方も、2階建てとは変わります。理想の住まいを完成させたご家族に、外観づくりの考え方を聞く『私たちの外観づくり』シリーズ。今回は、理想を叶えた平屋の住まいに暮らす京都府Oさま邸をご紹介します。

使いやすい平屋か、広い2階建てか?

ご夫婦と娘さんが3人で暮らすOさまの住まいは、ゆったりとした印象の平屋建て。外壁は、ナチュラルな印象の木目と天然石調のホワイトのツートンカラーが明るい雰囲気です。「平屋にするかどうか、正直とても悩みました」と振り返るご夫婦に、外観づくりのストーリーをお聞きしました。

角地に位置する住まい。正面から見るとホワイト×木の色のツートンカラーがさわやかな印象

お子さんの誕生をきっかけに住まいづくりを計画し、ハウスメーカーが所有していた現在の敷地を購入したお2人。当初は2階建てを希望し、ファーストプランを提案してもらいました。けれど相談するうちに、「やっぱり平屋で暮らしたい」という気持ちが強くなっていったのだそう。

「日常的な動線を考えるとやっぱり平屋がラクだし、何より子育てをするうえで安心だろうと思いました。視線も声も届きやすいし、子どもの事故の危険も減らせますから。将来子どもが独立して夫婦2人暮らしになった時も平屋はコンパクトで暮らしやすく、安心です。広さ重視の2階建て案も捨てきれませんでしたが、その分予算もかさみますし……。迷いましたね」。

インタビューに答えるOさまご家族。住まいの計画中に娘さんが誕生して3人家族に

購入した土地は約51坪(約170u)で、平屋を建てるにも十分な広さです。ただし、平屋にすると庭を広く作れないことが悩みどころに。「ご近所を見ていると、庭が広い家はやっぱり外から見た時の雰囲気が良いんです。平屋の場合、外構がどんな仕上がりになるのか心配でした」。平屋か2階建てか、それぞれの長所と短所をじっくり考えたのち、庭よりも家の中の暮らしやすさを優先しようと決めたお2人。平屋へのプラン変更を決断しました。

ツートンカラーの外壁でモダンな印象に

平屋への変更でもう一つ不安だったのが外観のデザインです。「外観はホワイトを基調に、シンプルナチュラルなテイストをイメージしていたんです。でも“平屋=和風”のイメージがあったから、合うかどうか心配でした」。けれどハウスメーカーが提案してくれたデザインシミュレーションのCGからモダンなデザインも合うと分かり、ホッとしたそう。平屋は横方向が大きくなるためどっしりとした印象になりますが、外壁に明るい色を選ぶことで重厚感が和らぎ、洋のデザインも似合うことが分かったといいます。

外壁のイメージはホワイトでしたが、並行して内装やインテリアを考えるうちに「フローリングや壁面に使った木に合わせて、外観にも木のテイストを取り入れたい」と考えるようになったお2人。ただ前述の通り、外壁を濃い色にすると重厚感が出すぎてしまうため、色選びは慎重に進めました。

リビングは壁の一面のみ凹凸のあるウッド調の素材を選んで、温かみのあるインテリアに。フローリングは無垢材

間取りがあらかた決まった時点で、建物全体がきれいな四角形ではなく一部が張り出したL字型になることが決定。そこで設計者が提案したのが、角部分で外壁材を切り替えるデザインです。ベースはホワイトの外壁材を使い、左半分に木のテイストを取り入れて、メリハリのあるツートンカラーにするアイデア。建物の正面から見るとホワイト×ブラウンの落ち着いた組み合わせながら、角地に位置するため見る角度によって違う印象を与える、魅力的な外観となりました。

L字型の短辺部分を木目調の外壁材に。L字型のプランによって、中央の玄関ポーチへの視線がゆるやかに遮られています。コーナーの植物も視線のスクリーン役に

汚れにくい光セラシリーズだから、色の選択肢が広がった

外壁材はケイミューの「光セラ」シリーズをセレクト。一番の理由はメンテナンス不要な点でした。「汚れを太陽の力で分解して洗い流す機能があるので、何十年もメンテナンスせずきれいな壁を保てることが決め手でした。初期投資は少し高めですが、良いものを選んで長く使う方が結果的にコストパフォーマンスが高いと普段から考えているので、迷わず光セラを選びました」。

左/外壁の切り替え部分。2色のコンビネーションを確認して決定
右/屋根のブラウンやポストのブラックが全体のトーンの引き締め役に

ホワイトの外壁は、ハウスメーカーが標準品として用意していた「光セラ」シリーズの「ラウンドウェーブ」に。天然石調で、ナチュラルにカーブする凹凸が光を受けてきれいな陰影を描きます。「立体的で高級感のある表情が気に入りました。汚れが目立ちにくそうなベージュと迷いましたが、光セラなら汚れにくいだろうと思って、当初からイメージしていたホワイトに。住んで4年経つ今も、目立った汚れはないですね」。

光セラシリーズは木目調の外壁材も豊富です。候補に絞ったのは、「コンポジション」、「寄木調18(現在は廃番)」、「ラジウッド」の3種類。本物の木に近い質感にこだわって比較検討し、ノコギリで粗く切り出した跡がリアルなラジウッドを選びました。

屋根材はケイミューの「カラーベスト」シリーズの「コロニアルグラッサ」のココナッツブラウン。ブラックよりやや明るい落ち着いたトーンで、外壁の木のテイストにも合う色合いが気に入っています。

天然石を積み重ねたような上質な表情の外壁材「ラウンドウェーブ」

一枚の板ごとにノコギリの目をランダムに表現した外壁材「ラジウッド」

ランダムな凹凸が豊かな陰影を生む外壁材「コンポジション」

美しい木目肌を表現した外壁材「寄木調18(現在は廃番)」

遠くから眺める我が家がきれいで嬉しい!

「住んでみると、やっぱり平屋は暮らしやすいですね。とても満足しています」と話すご夫婦。心配していた外構も、外壁材に明るい色を選び、光セラシリーズゆえ経年による汚れもほぼないおかげで全体がすっきりとまとまり、満足度が高いそう。ツートンカラーによって建物の圧迫感も抑えられています。道路沿いの植栽コーナーに植えたシマトネリコ、エゴノキ、ブルーベリーが外壁に映え、季節ごとの姿で楽しませます。

常緑樹のシマトネリコ、落葉するエゴノキなどの植物と外壁が美しく調和

「子どもと公園で遊んで帰ってくる時、遠くから見える我が家の外観がきれいなので気持ちがいいんです。もし外壁が汚れていたら『そろそろ掃除しなくちゃ』と憂鬱になるでしょうけれど(笑)、いつもきれいなので見るたびに嬉しくなりますね。家づくりのプロセスで外観の打ち合わせは最終段階になりがちですが、毎日目に入るものだからこそ、しっかり選ぶことが大切だと思います」。

これから家を作る人へのアドバイスを尋ねると、「外観も間取りも内装も、できるだけたくさんの事例を見た方が良いと思います」と話してくれました。「私たちは信頼できる設計者にある程度お任せして結果にも満足していますが、もっとおしゃれにできたかなと思う部分も正直あります(笑)。事例を多く見て、いいと思うデザインや機能を分析して取り入れることで、理想の住まいにより近づくんじゃないかな。特に外観は、素人には未知の部分も多いもの。たくさんの事例を見て『こんな形もできるんだ!』と学べれば、外観の打ち合わせも楽しくなると思います」。

検討に使った外壁材のサンプル。色の組み合わせも何通りも試して吟味しました

Oさま邸の外観こだわりポイント

  1. 1. CGのシミュレーションで「平屋=和」のイメージから脱却
  2. 2. 住まいの形状に合わせたツートンカラーで楽しく
  3. 3. 汚れにくい光セラだからこそ、ホワイトを選択
  4. 4. すっきりしたデザインだから、庭がなくてもバランスの良い外構に