
-
知りたい!ケイミュー
ケイミューの外壁材、どこが違う?選ぶポイントは?開発担当者に聞きました!【前編】
- #窯業系サイディング
- #サイディング
- #外壁
SHARE
外壁材のカタログを開くと膨大な数の色柄が並んでいますが、デザイン以外に何を基準に選んだら良いか迷う人が多いのではないでしょうか。窯業系サイディングで高いシェアを誇るケイミューの製品群は、合計1,113種類もあります(2024年4月現在)。性能別に18のシリーズがあり、価格もさまざま。具体的な違いは?選ぶ時に注目すべきポイントは?製品開発を担当する小島優さんと川崎裕介さんに聞きました。
メンテナンス性を決めるのは、一番上の「オーバーコート」
ケイミューの窯業系サイディングは全部で18シリーズ。目移りしてしまいますが、それぞれ何が違うのでしょうか?
川崎:ケイミューの窯業系サイディングは、基本的に4つの層で構成されています。下の図のように、「基材(きざい)」と呼ばれる板に「着色層」「クリヤーコート」「オーバーコート」の塗装を施して完成します。4層それぞれにバリエーションがあり、組み合わせを変えることで、デザインでも機能でも価格でも幅広いシリーズを展開しているんです。
小島:4層の役割は、ネイルに例えると分かりやすいかもしれません。基材=爪、着色層=マニキュア、クリヤー・オーバーコート=トップコート。トップコートは透明で目に見えにくいですが、色が剥げたり爪が欠けたりしないように保護する大切な役割がありますよね。クリヤー・オーバーコートも、汚れや色あせから着色層と基材を守ることが目的です。

ケイミューの窯業系サイディングの断面イメージ
![]() |
次世代外装パネル レジェール |
---|---|
ネオロック・光セラ18 | |
![]() |
フラットデザインパネル |
エクセレージ・光セラ15 | |
エクセレージ・光セラ16 | |
![]() |
セラディール・親水パワーコート16 |
セラディール・親水パワーコート18 | |
![]() |
ネオロック・親水16 |
エクセレージ・親水15 | |
エクセレージ・親水16 | |
セラディール・親水14 | |
エクセレージ・親水14 |
ケイミューの窯業系サイディングのラインナップ一覧。シリーズごとに4層の組み合わせが違う
川崎:基材は住宅向けだけで4種類、着色層は塗装方法で分けると約10種類。その上のクリヤーコートは3種類、一番上のオーバーコートも3種類で、すべて機能が違います。これら4層の組み合わせを変えて、14のシリーズを作っています。

左/商品開発グループのチームリーダーを務める小島優さん。右/基材の材料技術開発を担当している川崎裕介さん
機能面で言うと、どの層がポイントなのでしょうか?
川崎:外壁を長くきれいに保つために重要なのが、一番上のオーバーコートとその下のクリヤーコートです。この2層に何を使うかによって、『親水コート』『親水パワーコート』『光セラ』の3シリーズに分かれます。性能のグレードで言うと『親水コート』は業界標準クラス。そのワンランク上が『親水パワーコート』。そして最高グレードが光触媒コートを使用している『光セラ』シリーズです。光触媒コートの中には、藻がつきにくい防藻光触媒コートというものもあります。

『親水コート』『親水パワーコート』『光セラ』の3シリーズはクリヤーコートとオーバーコートの種類が違い、それにより機能が変わる
最高グレードの『光セラ』は、親水コート・親水パワーコートと何が違うのでしょう?
小島:1つ目の違いは、汚れを洗い流す機能です。『親水コート』『親水パワーコート』は親水性が高い=水と混ざりやすいため外壁と汚れの間に雨が入り込み、汚れを浮き上がらせて雨水と一緒に洗い流してくれるメカニズムです。ただし、雨が降らなければ汚れに対してアクションを起こすことはありません。

『親水コート』『親水パワーコート』が雨水の力で汚れを洗い流すメカニズム
小島:一方の『光セラ』は、親水性が高いのに加えて、太陽の紫外線の力を使って汚れを分解するセルフクリーニング機能も備えています。「太陽の力で汚れを分解+雨水の力で洗い流す」と2つの機能を兼ね備えているから汚れにくいんです。しかも『親水コート』より親水性が強力なので、『光セラ』シリーズはケイミュー最上位クラスなんです。

『光セラ』シリーズが太陽の力で汚れを分解する仕組み
汚れを落とすには、水となじみやすいことが大切なんですね。車のように水を弾く方がきれいに保てると思っていました。
小島:自動車のコーティング剤に撥水性が求められるのは、車は走ることによって風で水分を飛ばせるからなんです。動かない建物の場合、中途半端に撥水性を持たせると、かえって汚れの原因となる油を引き寄せてしまう性質があります。外壁で、ダクトの下が黒く筋状に汚れてしまった状態を見たことがありますよね。あれは、排出された空気に含まれる油分が集まって汚れた現象です。雨や空気中にも油分が含まれているので、外壁は意外と油汚れのリスクが高いんです。
色あせ防止のポイントは「有機か、無機か」
汚れを洗い流す機能だけでなく、色あせから守る機能もシリーズによって違うのですか?
川崎:はい。ここで重要なのがクリヤーコートとオーバーコートの性質です。理科の授業で「有機物」と「無機物」という言葉を聞いたことがありますよね。有機物は簡単に言うと「燃えるもの」。プラスチック製品や木材、紙などが含まれ、日光を浴びると劣化します。対して無機物は「燃えないもの」で、陶器やセメント、ガラス、石、砂などがあります。こちらは日光を浴びても劣化しません。例えばプラスチック製の洗濯バサミは日光を浴びると色があせてもろくなりますが、ガラスは劣化せず、色あせもないですよね。
小島:ケイミューの窯業系サイディングの着色層、つまりネイルのマニキュアに当たる部分は有機物を含む塗料なので、紫外線が当たると色あせが起きてしまいます。そうした劣化を防ぐのが着色層の上に施すクリヤーコート、そして一部のオーバーコートです。

着色層に紫外線が当たった時の断面図イメージ。クリヤーコートとオーバーコートがなければ、紫外線が着色層を侵食し、色あせが発生
ということは、クリヤーコートとオーバーコートは紫外線に強い無機物なのですか?
小島:そうとは限りません。ケイミューでは有機物と無機物を使い分けて3シリーズを揃え、目的と予算に合わせて選べるようにしています。

解説する川崎さん
3シリーズのメリット・デメリット
先ほど、クリヤーコートとオーバーコートの組み合わせによって『親水コート』『親水パワーコート』『光セラ』の3種類に分かれるとお聞きしました。
川崎:はい。この3種類のグレードを決めるのが「有機か、無機か」の違いなんです。まず『親水コート』に使うクリヤーコートは有機系なので、色あせへの耐性は標準レベルです。ワンランク上の『親水パワーコート』はクリヤーコートの一部に無機物を含んでいるので、紫外線からガードして色あせからも守ってくれます。
小島:そして、色あせに一番強いのが『光セラ (レジェール/光セラ18)』シリーズです。こちらは「光触媒コート+セラミックコート+高耐候クリヤーコート」という構造。このセラミックコートが、紫外線ブロックに活躍します。なんと主骨格となる成分の100%が無機物で、さらに無機紫外線吸収剤が入っているので、色あせから守る機能が長続きします。社内試験では、40年相当の試験時間でもほとんど色あせが見られませんでした。

『親水コート』シリーズ、『親水パワーコート』シリーズ、『光セラ (レジェール/光セラ18)』シリーズの断面イメージ図
川崎:ただし性能が高い分、価格に差があり、「光セラ > 親水パワーコート > 親水コート」のような価格順です。予算に合わせて選んでいただけるように、たくさんのラインナップを揃えています。