1. TOP
  2. 記事一覧
  3. 「飛鳥ケイミュー 橘の里」生まれ 古の果実・橘をつかった奈良の良いもの
  • 知りたい!ケイミュー

「飛鳥ケイミュー 橘の里」生まれ
古の果実・橘をつかった奈良の良いもの

  • #栽培
  • #柑橘類

かき氷に飴、シロップ、ハンドクリームにせっけん、お茶にジン。このラインナップに共通するのは、「ケイミューが育てた橘の果実を使っている」ということ。外装材メーカーであるケイミューがどうして橘を?と不思議に思われたかもしれません。今回は、ケイミューが橘を育てているワケと、その橘を使った“奈良のいいもの”をご紹介します。

古の果実・大和橘ってどんな果物?

「橘(たちばな)」を知っていますか?「知っているけど、その実を食べたことはない」という方が多いかもしれません。橘はミカン科ミカン属の常緑小高木で、柑橘類の一種です。日本に古くから野生していた日本固有の植物であり、「大和橘」とも呼ばれています。

大和橘の果実は、みかんより小ぶりで金柑より少し大きいぐらい。冬でも生き生きとした緑の葉と黄色の果実が生命力を感じさせます

橘は、常緑で冬でも葉を落とさず、その実には種子が多いことから、「永遠の繁栄」を喩えるものとして古来、親しまれてきました。古事記には「垂仁天皇が田道間守を常世の国に遣わして、不老不死の霊薬として橘を持ち帰らせた」という話が記されており、その由来から、京都御所紫宸殿では「右近の橘・左近の桜」として橘が植えられています。雛祭りの雛壇に橘の木を飾る風習は、そこから生まれたものなんですよ。ほかにも、文化勲章に橘がデザインされていたり、実は500円玉の裏(数字がある方)にも橘が描かれています。橘の実と花は、家紋にも多く使われてきました。

お内裏様とお雛様から見て右手にあるのが「右近の橘」。雛祭りの起源は平安時代中期と言われています(写真:photoAC)

そんなふうに、日本が「大和」と呼ばれていた時代から日本文化の中にあった橘ですが、自生するものは和歌山や三重県の山地に稀にあるぐらいで、絶滅危惧種になっていました。そんな橘を栽培・保存して、地域ブランド「大和橘」として広めようという取り組みが、『飛鳥ケイミュー 橘の里』の活動です。

歴史遺産と自然を保護しながら地域ブランドを育てる

ケイミューは2009年に研究開発拠点として奈良県大和郡山市に「奈良テクノセンター」を開設して以来、産官連携での技術共同開発や、県内のさまざまな企業活動支援への参画を行ってきました。『飛鳥ケイミュー 橘の里』は、これからもケイミューが奈良の地で事業を行っていくにあたり、社員も率先して参画し継続できる地域社会貢献活動として始まりました。

『飛鳥ケイミュー 橘の里』があるのは奈良県高市郡明日香村。このエリアはかつて「飛鳥」と呼ばれ、天皇の住まいである宮と都が置かれていたことから、聖徳太子や日本史上最初の女性天皇と言われる推古天皇が生きた「飛鳥時代」の名称の由来にもなった地域です。奈良県では農村地の過疎化で休耕地が増加しており、日本有数の貴重な史跡が多い明日香村周辺は、特に開発が厳しく制限されていました。そんな明日香村の環境を保全しながら復興していくために着目したのが、日本古来の柑橘類である「大和橘」でした。

11月下旬〜12月初旬に行われるケイミュー社員による収穫作業。奥に見えるのは国営飛鳥歴史公園の高松塚古墳

そうして、2015年からスタートした『飛鳥ケイミュー 橘の里』。奈良県・明日香村・ケイミューの産官連携のもと、雇用支援として障がい者の方にも携わってもらいながら、ケイミューが主体となって大和橘を栽培しています。

『飛鳥ケイミュー 橘の里』は国営飛鳥歴史公園にある高松塚古墳の隣にあり、この古墳は1972年に極彩色の壁画が発見されたことで有名です。特に色彩鮮やかな「西壁の女子群像」は歴史の教科書などにも載っており、ご存じの方もいるのではないでしょうか。

国営飛鳥歴史公園内にある「高松塚壁画館」。「飛鳥美人」として有名な女子群像などの古墳壁画の模写や、石室部のレプリカを見ることができます

5地区に分かれている国営飛鳥歴史公園の中でも、近鉄飛鳥駅から徒歩7分と好アクセスにある高松塚周辺地区には、飛鳥の史跡や歴史を紹介している国営飛鳥歴史公園館や、壁画の複写や復元模型が見学できる高松塚壁画館があり、飛鳥時代を巡る旅の入り口にぴったりな場所です。奈良公園や寺社仏閣が有名な奈良ですが、これらの古墳もぜひ旅のルートに加えていただきたいスポットです。

大和橘をつかった奈良のいいもの・おいしいもの

そんな歴史ある土地で栽培されている『飛鳥ケイミュー 橘の里』の大和橘。橘の果実は種が多く、苦味があって酸味もとても強いため、生食にはあまり向いていないのですが、その個性と爽やかな香りが何よりの特徴。前述の古事記では、“時を選ばずに香っている果実”という意味の「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」と記され、橘の芳しい香りは古の時代にも尊ばれていました。そうした橘の魅力を活かしたお菓子やプロダクトが多くのパートナー企業のもとで開発され、明日香ブランド・奈良ブランドとして商品化されています。今回は、それらの商品の一部をご紹介します。

目にも舌にもおいしい、大和橘とミルクとかき氷のマリアージュ

写真は大和橘のシロップとコンポート、奈良いちご「古都華(ことか)」のシロップに、ふわふわのミルクエスプーマやマスカルポーネ、吉野のはちみつを組み合わせたメニュー

近鉄奈良駅から徒歩7分の場所にあるかき氷店「ほうせき箱」。店名の由来は、“おやつ”の意味を持つ奈良の方言“ほうせき”から。丸3日かけて凍らせた奈良の純氷を使い、果物をはじめ、柿の葉茶やはちみつなど、奈良産の食材を使ったオリジナリティ溢れる組み合わせのトッピングが人気です。大和橘の果汁やシロップ、果実のコンポートを使ったメニューも複数展開しており、特に搾りたての果汁は濃厚だそう。氷と一緒に食べてもぼやけない大和橘の強い風味は、ミルクエスプーマのやさしい甘味とも好相性。氷の神様を祀る氷室神社があり、「氷の食文化の始まりの土地」とも言われる奈良で、ぜひ足を運んでほしいお店です。(※メニューは季節によって変わります)

ほうせき箱

住所 奈良県奈良市餅飯殿町47
営業時間 10時〜12時50分、14時〜17時/土日は〜17時30分
WEB予約制。以下公式インスタグラムから予約ページが確認できます。(※2023年2月現在)

大和橘の風味と香りがぎゅっと詰まったシロップ&キャンディ

左/『大和橘シロップ』(限定商品)、右/『飴 大和橘』40g入り

奈良生まれの自然素材を使ったオリジナルの焼き菓子や飴、お茶を展開しているブランド「ならbonbon」。大和橘から絞り出した果汁に、はちみつと砂糖、蒸留法で抽出したエッセンスを加えて仕上げた『大和橘シロップ』は、毎年12月の大和橘の収穫後から販売される限定商品。シンプルにソーダを加えてジュースにしても良し、サラダのドレッシングやお肉のソースに使っても、きりっと強い大和橘の酸味と香りがお料理を引き立てます。『飴 大和橘』には大和橘から抽出したエッセンスと果皮が使われており、ほかはグラニュー糖と水あめのみで作られています。「ならbonbon」ではほかにも、奈良の食材を使ったさまざまな味の飴を展開しています。

ならbonbon

直営店 奈良県奈良市橋本町3-1 BONCHI 1F
営業時間 11時〜13時、14時〜18時

上記ウェブショップのほか、直営店でお買い求めいただけます。

奈良産和漢植物がうるおいをくれる美肌せっけん&ハンドクリーム

左・中央/『やまとこすめ 美肌せっけん ヤマトタチバナの香り』、右/『ならこすめ ハンドクリーム ヤマトタチバナの香り』

大和橘から抽出したタチバナ果皮エキスやカキ葉エキスなど、保湿成分として奈良産和漢植物エキスを贅沢に配合した『やまとこすめ 美肌せっけん』。付属のオリジナル泡立てネットでつくる泡はもっちり濃密で、お肌にうるおいを与えながら、くすみ(古い角質)や毛穴汚れをやさしくオフしてくれます。『ならこすめ ハンドクリーム ヤマトタチバナの香り』にもタチバナ果皮エキスが使われており、さらに5種類の奈良産和漢植物エキスが手肌をしっとりすべすべに導いてくれます。泡やクリームになっても豊かに香る大和橘の爽やかな香りに、気分もすっきりリフレッシュします。製造・販売元は創業120年の化粧品メーカー、クラブコスメチックス。

株式会社クラブコスメチックス

全国の取扱店ほか、上記「クラブコスメオンライン」でもお買い求めいただけます。

体の中と肌を整える、奈良産の生薬をブレンドした桃色のお茶

『和漢めぐり茶』5包入箱 20包入のお徳用パックや、1包パックも展開しています

奈良の伝統的な漢方食材を活かした商品を展開する「奈良ピックルス」の『和漢めぐり茶』は、柿の葉をベースにしたブレンドティー。奈良で昔から親しまれてきた柿の葉は、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富で、熱に強いプロビタミンCも多く含まれており、お茶にしてもその効果が損なわれないのが特徴。そこへ、抗酸化物質が多く含まれている大和橘の果皮や大和当帰、イソフラボンが豊富な黒豆などの奈良産生薬をブレンド。薬膳茶は飲みにくいイメージがあるかもしれませんが、『和漢めぐり茶』はほのかな自然の甘さですっきりとした飲み口。ビーツ由来の鮮やかな桃色が目にもうるおいをくれます。ノンカフェインで、ホットでもアイスでも楽しめます。

奈良ピックルス


上記ウェブショップのほか、奈良県内の取り扱い店でお買い求めいただけます。

奈良の風土と歴史を閉じ込めた、大和橘の芳香を堪能するクラフトジン

左/『橘花KIKKA GIN 150ml』、中央/『大和Lab. 大和橘』、右/『橘花KIKKA GIN 朱華 700ml』

享保四年(1719年)から酒造りを続けている油長酒造が立ち上げた「大和蒸溜所」の『橘花 KIKKA GIN』。口当たりの柔らかさと日本人に馴染みがあるライススピリッツをベースに使い、ボタニカルには大和橘と奈良産の大和当帰の葉を使用。ハイボールやジントニックにしてもおいしいですが、大和橘ならではの強い柑橘の香りと風味を堪能するなら、やはりロック。奈良県の苺・あすかルビーも加えた『橘花 KIKKA GIN 朱華』や、大和橘だけで風味づけしたスピリッツ『大和Lab. 大和橘』も展開しています。商品ロゴの橘紋は、油長酒造の家紋でもあるのだそう。奈良県御所市に築150年の古民家を改装した蒸溜所を構えており、事前予約で見学も可能。

大和蒸溜所(油長酒造)

住所 奈良県御所市西久保本町1137
営業時間 11時〜13時、14時〜18時

上記ウェブショップでお買い求めいただけます。

2015年から始まった『飛鳥ケイミュー 橘の里』の活動は、2020年のグッドデザイン賞に選ばれました

歴史遺産と自然を守りながら、奈良県・明日香村の地域経済にも貢献する『飛鳥ケイミュー 橘の里』の取り組み。大和橘の収穫量は年々増加し、その果実を使った商品もじわじわと増えてきています。ケイミューはこれからも、大和橘の栽培と大和橘ブランドの育成を通じて、奈良の“いいもの”を広げていきます。

関連記事