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【住まいが豊かになる「庭」づくり#1】過ごせる庭をつくる、ガーデンデザイン

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家づくりを思い立ったとき「庭と建物一緒に考えてデザインした方が、住まいは必ず豊かになります」と、ガーデンデザイナーの林恵美子さんはいいます。使わない、過ごさない庭が生まれてしまいがちな日本の住宅事情と、過ごせる庭づくりに必要なポイントについて林さんにお話を伺いました。

庭のデザインをするだけではない、ガーデンデザイナーの仕事

私が考えるガーデンデザイナーの仕事は、屋外空間をデザインするのはもちろんですが、外での過ごし方を含めてお客様に提案することだと思っています。庭をただ綺麗にするのではなく、建物と庭、庭と人の関係性をデザインする。お客様から庭のご相談があった場合も、デザインよりも庭でどのように過ごしたいか丁寧にヒアリングをするようにしていますし、庭が完成した後も、植栽の剪定やガーデンパーティを開くなど、庭で快適に過ごすための「HOW TO」をお伝えするようにしています。最近、SNSで日本の庭園の写真を見て来日する外国の観光客の方たちが増えていますが、それもシンプルに庭に美学を感じて、実際に体感してみたいと本能的に思うからではないでしょうか。会社名を「センスオブリゾート」としたのも、お客様に、見た目だけではなく、リゾート地を訪れたときのように外での時間を楽しむ気持ちを大切にしてほしいという思いから名前を付けました。

使わない、過ごさない「庭」が生まれてしまう理由とは

家を建てたいと思ったらハウスメーカーに依頼する方が多いと思いますが、そこで庭づくりについて話をすることはなかなかありませんし、当初考えていた予算も家だけで使ってしまうケースが多いと思います。もちろん素敵なお家を建てることはできるのですが、建物と庭を一緒に考えてデザインした方が、住まいは必ず豊かになります。これは声を大にして言いたいことです。長年、この建物と庭の間は中間領域になっていて、依頼する会社が分かれているので手付かずのグレーゾーンになっています。その中間領域を繋げるのが私たちガーデンデザイナーの仕事だと思っています。うちのような会社に辿り着くお客様は庭を大切にしたいと思っていらっしゃる方が多いですが、みなさんにも家の中だけでなく、庭でどのように過ごしたいかイメージを持っていだくことがまずは大切だと思います。

過ごせる「庭」づくりを行うための4つのポイント

庭で過ごすというと、「旦那さまがキャンプ好きで」、「奥さまがガーデニング好きで」、「家族でバーベキューをする」など、趣味がからんでくるイメージをもたれている方が多いと思うんですけど、そんな必要はありません。そもそも趣味は、年齢や家族構成、ライフステージによって変わってきますし、趣味が変わればたまにしか使わなくなってしまうから、手入れも行き届かなくなって、使わない、過ごさない庭になってしまう。そんな庭を、私はたくさん見てきました。大事なのは、庭で過ごすことを「非日常」の趣味の時間にするのではなく、毎日を快適にする「日常」の時間にすることなんです。この感覚をもってもらうことが、過ごせる庭づくりで一番大切です。そんな風に庭を快適な日常にするために、わたしは「目隠し」「植栽」「日よけ」「ガーデンファニチャー」の4つのポイントを押さえることが大切だと考えています。どれかひとつ欠けてもダメで、4つすべてが必要なんです。

Point.@ 近隣から見えないよう効果的に「目隠し」を行う

庭を快適な日常にするために必要なのは、まず目隠しです。目隠しは、隣の敷地との境界に壁やフェンスなどを設けてプライバシーを確保しますが、敷地すべてに目隠しをしようとすると、圧迫感があって建物とのバランスも悪くなってしまい、コストも高くなってしまいます。私は、目隠しをするのは最低限「過ごす」ところだけでいいと思います。例えば、家の前に道路があるなら、そこから見える所だけを囲んで、田んぼや畑など誰も人が来ないような所に目隠しはしない。高さも、立ち上がった身長より高くすると圧迫感が出てしまうので、座った時に目線が隠れる高さ(床から1300〜1400mm)程度あれば十分です。

Point.A 常緑樹や落葉樹などの「植栽」を上手に取り入れる

庭にグリーンがあるとシンプルに気持ちがよいですし、写真のように背丈のある樹であれば木陰を作ってくれるので日よけにもなります。その場合は、季節に合わせて太陽の向きなども計算するとよいでしょう。植栽には常緑樹と落葉樹があり、常緑樹は寒い季節も葉が落ちないので隣との境界に植えると良く、落葉樹は四季を感じることができるので、家の中からよく見えるところに植えるなど、樹種選びや植栽計画もきちんと行うとより快適になります。

Point.B 庭づくりの意外な落とし穴!?暑い季節に大切な「日よけ」

夏の庭は暑くなるので、快適に過ごすために日よけを欠かすことはできません。上の写真は建物にフックを付けて設置するシェードなので、建物設計の段階で下地を入れて耐荷重を確保する必要があります。下の写真のようにパラソルなどでも手軽に日よけができますが、風に弱かったり、畳んだり開いたりする手間がかかるなどの弱点もあるので、日よけは建築を計画する段階で早めに考えておくとよいでしょう。

Point.C お洒落で機能的な「ガーデンファニチャー」を取り入れる

庭で過ごすなら、家具も絶対に欠かせません。最近は、機能的でお洒落な海外のガーデンファニチャーも手に入りやすくなってきました。リビングのように過ごしたいならソファーセット、ご飯を食べたいならダイニングセットというように、屋外に部屋をつくる感覚で選ぶとよいでしょう。選び方で大切なのは、ふだん何人で使うのかよく考えること。友だちを招いてのガーデンパーティなど、夢が膨らんでつい大きな家具を選びがちですが、夫婦二人暮らしなら二人分の大きさで十分ですし、年に何回かしか帰ってこないお子さん、お孫さんなどのことまで考える必要はありません。できるだけ最低限の大きさで構えておく方が、ずっと長く快適に使い続けることができます。またインテリアと同じで、建物の外壁の色や素材感との相性も考えてコーディネートをするとぐっと素敵になります。

「こんな庭があったらいいのに」「庭のこんなところに困っている」など、庭に関するご希望やお悩みがありましたら、以下よりお問い合わせください。

はじめてみませんか?「ソトカラデザイン」

ケイミューでは、外観からはじめる家づくり「ソトカラデザイン」で、さまざまなプランをご紹介しています。今回の記事でお話を伺った林恵美子さんには、ガーデンデザイナーのプロフェッショナルの視点から、モダンな都心の家に自然を取り入れたくつろぎのあるプラン「ソトカラガーディングCITY」と、機能性とデザイン性を備えたグリーンを楽しめるプラン「ソトカラガーデニングOUTDOOR」をご提案いただきました。

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