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美しい空間で五感を満たす。この春出かけたい、美術館カフェ5選。

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建築や内装も見どころである美術館は、展示だけでなく空間全体を楽しめるスポットです。今回は、全国5カ所の美術館に併設された個性豊かなカフェに注目。展示と合わせて楽しむのはもちろん、カフェを目指して出かけるのもおすすめです。春に向けて、お出かけや旅先の候補に入れてみてはいかがでしょうか。

床一面に広がる作品の上でカフェタイムを。十和田市現代美術館「cube cafe & shop」【青森県】

マイケル・リン《無題》2008年 撮影:小山田邦哉

2008年に開館した十和田市現代美術館。建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞したことで知られる建築家、西沢立衛さんが設計を手掛けました。大小さまざまな展示室を「アートのための家」として独立して点在させ、それらをガラスの廊下でつなぐことによって、街を巡るような感覚をもたらしています。

カフェ「cube cafe & shop」も、展示室と同様に建物を構成する空間の一つ。全体の設計思想を受け継ぎ白をベースにしたミニマルな空間に、高さ約10mの窓から明るい光が降り注ぎます。この窓は並木道に面し、春は桜、夏は青葉、冬は雪と、季節で変わる十和田の風景を切り取るスクリーンの役割も果たしています。

美術館の外観。官庁街通りの並木道に面したカフェは全面ガラス張りで、四季の風景を楽しめます

店内に入ると目に飛び込んでくるのは、床一面に広がるダイナミックで鮮やかな模様。台湾出身のアーティスト、マイケル・リンが十和田市の伝統工芸である織物「南部裂織」に着想を得た絵画作品《無題》が、絨毯を敷き詰めるように展示されています。作品を目で鑑賞するだけでなく、その上で「過ごす」ことができるのがこの空間の醍醐味。「美術は高尚なものでなく、日常の中に存在するもの」と語るリンの思想を体感しながらコーヒーを飲み、作品の上を歩き、椅子に座るといった日常の動作が、そのまま作品体験の一部になります。

おすすめのメニューは、十和田産米粉を使用したパイ生地と、とわだ短角牛とゴボウの旨みと食感のコントラストを楽しめる「とわだ短角牛とごぼうのビーフパイ」。開催中の彫刻家・国松希根太の個展を記念した期間限定ケーキも注目です(2026年5月10日まで)。

短角牛を放牧で育てる十和田市「SASAKI FARM」の牛肉を使った「とわだ短角牛とごぼうのビーフパイ」(スープ+サラダ付き1,100円)

十和田市現代美術館 cube cafe & shop

住所 青森県十和田市西二番町10-9
営業時間 9:00∼17:00(ラストオーダー16:30)
定休日 月曜(祝日の場合はその翌日)
※美術館に準じる
TEL 0176-22-7789

丸の内のビル街に現れるクラシックな非日常空間。三菱一号館美術館「Café1894」【東京都】

明治中期の1894年に竣工した「三菱一号館」を可能な限り忠実に復元し、2010年に開館した三菱一号館美術館。イギリス人建築家のジョサイア・コンドルによる洋風建築の意匠を随所に感じる、赤レンガが美しい建物です。「Café1894」は、かつて銀行営業室として利用されていた空間を用いたクラシックなカフェ・バー。建物の竣工当時に撮影されたと思われる写真や図面、保存されていた部材などを基に、こちらも可能な限り忠実に空間を復元しています。

丸の内のビル街で際立つ赤レンガの佇まい

印象的なのは、扉を開けた瞬間に感じる壮大なスケール感。高さ8mに及ぶ開放的な吹き抜け空間で、重厚な素材が静かに存在感を放っています。幾何学模様の天井や繊細な意匠が光る柱、揺らぎのあるガラス窓。当時を思わせる雰囲気の中、ランチからディナーまで楽しむことができます。昼は二層の窓から柔らかな光が注ぎ、夜は照明が映える落ち着いた雰囲気と、時間帯で表情を変えるのも魅力の一つ。丸の内で非日常を味わえるフォトジェニックな空間としても人気です。

看板メニューは、一皿に前菜やメインを彩り豊かに盛り付けた「パレットプレート」。まるで絵画のパレットのように多様な食材を、目と舌の両方で味わえます。おいしさはもちろん色のコントラストにもこだわっているため、SNS映えしやすいのも人気の理由。重厚な木を基調としたクラシック建築を背景に、カラフルでモダンな料理が際立ちます。

ランチタイムとカフェタイムに提供する「パレットプレート」(季節のポタージュ+パン+ドリンク付き2,800円)

三菱一号館美術館 Café1894

住所 東京都千代田区丸の内2-6-2 三菱一号館美術館1階
営業時間 11:00∼23:00
定休日 不定休のためWEBサイトで確認を
TEL 03-3212-7156

洗練された素材使いとアートの数々。アーティゾン美術館「ミュージアムカフェ」【東京都】

1952年に開館したブリヂストン美術館が2020年、名称を新たにオープンしたアーティゾン美術館。ビル内6フロアから成る都市型美術館で、4〜6階が展示室ゾーンです。高さ8mの吹き抜けと大きなガラス扉が開放感をもたらす1階のミュージアムカフェは、イタリアデザイン界の巨匠、エットレ・ソットサスによるヴェネチアンガラス器を中心に、日本が誇るインテリアデザイナー、倉俣史朗の作品も並ぶ飾り棚が目を引きます。

内装の素材やデザインにも注目。1・2階の床や壁には、モルタル系素材に大理石の骨材を混ぜて固めたテラゾと呼ばれる素材が用いられています。大理石で床に描かれた白いラインは、かつてブリヂストン美術館が入っていた旧ブリヂストン本社ビルのファサードにあったパターンを進化させたもので、美術館名の一部「HORIZON(地平)」を意味しています。さらに、円柱や壁に貼った石材は黒御影石の表面をジェットバーナーで焼いたものと、インド砂岩に細かい砂で磨くサンドブラスト加工を施したものを使用。表情を微妙に変化させることで空間全体の柔らかさ、美術作品のような唯一無二性を演出しています。

二層を貫く吹き抜けの1階に位置するカフェ。テラゾの床に描いた白いラインがモダンな雰囲気

企画展とのコラボレーションメニューが豊富で、現在は開催中の展覧会「モネ没後100年 クロード・モネ ー風景への問いかけ」に合わせたメニューを提供中(2026年5月24日まで)。ドリンク「ボタニカルフィズ ― 光差す庭 ―」はモネが晩年情熱を注いだ庭に実際に入り込んだかのような雰囲気を目指し、草木や花々、果実をハーブやフルーツで表現しています。視覚的な彩りはもちろん、ソーダの弾ける音、ハーブやフルーツがもたらす香りの広がりや奥行きなど、五感で楽しめるメニューです。

モネの作品《ジヴェルニーのモネの庭》とのコラボドリンク「ボタニカルフィズ ― 光差す庭 ―」(900円)。ハーブティーで作ったゼリーの食感との調和も楽しめます

アーティゾン美術館 ミュージアムカフェ

住所 東京都中央区京橋1-7-2 アーティゾン美術館1階
営業時間 11:00∼18:00(展覧会開催期間中の祝日を除く金曜のみ∼21:00)
定休日 展覧会開催期間中は美術館休館日に準ずる。展示替え休館期間は月曜休み(祝日の場合は営業、翌平日休)
URL 予約はこちら

岡崎エリアにひらかれた開放的なモダン空間。京都市京セラ美術館「ENFUSE」【京都府】

日本で2番目の公立美術館として1933年に開館した京都市美術館が、2020年に京都市京セラ美術館としてリニューアルオープン。建築家の青木淳さんと西澤徹夫さんが改修設計を手掛け、青木さんは現在館長を務めています。象徴的なのは、メインエントランスから左右に伸びるファサード「ガラス・リボン」。レンガタイルを使ったクラシックな外観とは対照的に、館内に入ると明るく開放的な雰囲気です。

ガラス・リボン内にあるカフェ「ENFUSE」は、神宮通に面した明るく気持ちのいいスペース。入口から最奥まで約34mと細長く、京町家を思わせる設計です。丸テーブルとスツールを組み合わせたゾーン、幅約5mの大型テーブルを囲むゾーン、ソファ席ゾーンと、気分に合わせて過ごし方を選ぶことができます。

メニューは旬の食材を取り入れた「おばんざいプレート」を始め、地元の素材や京都ならではの調理方法を使ったものを提供。岡崎公園や琵琶湖疏水沿いで楽しめるお弁当やサンドイッチのピクニックセットも人気です(2日前までに要予約、期間限定)。美術館の中と外をつなぐ中間領域のような場所として、散歩ついでにふらりと立ち寄っても楽しめます。

野菜を中心に、季節で食材が変わる人気の「おばんざいプレート」(1,850円)

美術館敷地内や岡崎エリアにお弁当やドリンクを持ち出せるピクニックプランも(2,500円∼)。カゴやラグ、美術館マップなどのレンタルグッズも利用できるので、好きな場所で気軽にピクニックを楽しめます。2026年4月中旬より、展覧会「大どろぼうの家」とのコラボメニューも登場予定

京都市京セラ美術館 ENFUSE

住所 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 京都市京セラ美術館内
営業時間 10:30∼19:00(ラストオーダー18:00)
定休日 美術館休館日に準ずる
TEL 075-751-1010

紙管を用いた温もりのインテリア。大分県立美術館OPAM「café Charité」【大分県】

撮影:Hiroyuki Hirai

2015年に開館した大分県立美術館。設計を手掛けたのは、プリツカー賞や紫綬褒章など錚々たる賞を受賞し、紙管(ラップの芯などに使われる紙製の管)を使った建築で知られる建築家の坂(ばん)茂さん。「街に開かれた縁側としての美術館」をコンセプトに、1階はガラス張り、2階は大分県の伝統工芸である竹工芸をモチーフにした幾何学的な構成です。大通りに面した壁面部分はガラスの折れ戸になっており、開けると縁側のように伸び伸びとした大空間が広がります。

大通りから見た外観。2階の外壁は大分県の伝統工芸である竹工芸がモチーフ。軽やかでモダンな佇まいが街に溶けこんでいます

2階にある「café Charité」も坂さんが内装設計を担当。間仕切り壁やカウンター、客席のテーブルや椅子に至るまで、坂さんの代名詞とも言える紙管で作られています。ベージュを基調に紙ならではの温もりや柔らかな表情に包まれ、実際に腰掛けてみると見た目からのイメージ以上に心地よくリラックスできます。世界的な建築家である坂さんの作品を気軽に体験できるのも、「café Charité」の魅力の一つです。

メニューは地産地消をテーマに、大分県久住高原にある自社農園で育てた新鮮な野菜や豊後牛をふんだんに使ったヘルシーな料理を提供しています。一番人気の豊後牛100%の自家製挽き肉を使って手ごねで仕上げた「豊後牛100% シャリテ・ハンバーグステーキ」は、贅沢な肉汁が絶品。展示に合わせた期間限定のメニューも注目です。

ボリューム満点の人気メニュー「豊後牛100% シャリテ・ハンバーグステーキ(210g)」(1,800円)

大分県立美術館OPAM café Charité

住所 大分県大分市寿町2-1
営業時間 11:00∼18:30(金・土曜は∼19:30)
定休日 なし(臨時休業あり)
TEL 097-578-7788

カフェをきっかけに、各地の美術館に足を踏み入れてみるのも楽しいもの。普段のカフェとは違う新しい楽しみ方に出会えるかもしれません。

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